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蒼天のフィッツロイ

テントを張った後、倒れるように横になった。 夕方に目を覚まして空を見上げると、快晴に近い空だ。今夜は眠れそうもない。夜が待ち遠しい。 でも、この時期はなかなか日が沈まない。しかも、高緯度ゆえ太陽の沈む角度が浅いため、薄明の時間が1時間半もある。 とりあえず日が暮れるまでディナータイムだ。 ご飯を炊くときは、沸騰して蓋が外れないようにスープ用の水を入れた子鍋を乗せる。 余熱で暖まるため、燃料の節約にもなり、一石二鳥。

意外なことにスーパーにはインスタントラーメンが売っていなかったが、クノールの炊くだけのピラフはとても手軽でよかった。 でも、味はとてもひどい。インスタントスープもすごくまずい。 日本でも無洗米で同じような商品だしてくれないかなぁ・・・

待望の夜が来た。23時前だが、まだ薄明るい。 キャンプ場の辺りでは手前の山が邪魔なので、来た道を2kmほど戻ってカメラを構える。 空は雲が増えて、半分ぐらいを占めている。東の空には月が昇っている。 フィッツロイの上半分は雲の中なので、ひたすら待つ。 ところが雲は増える一方、そしてついに雨がパラツキ始めた。 みるからにヤバい雲が迫ってきたので、あえなく撤収。 そんなにあまくなかった。 テントに戻ると、雨風が強くなってきた。 半端じゃない。 まるでジェット機がかすめているように、風がうなりをあげて通り過ぎていく。 林の中なのに、その度にテントが激しく揺れる。 これがパタゴニアの真の姿か! 朝になっても吹き荒れていたが、11時すぎには風が弱まり晴れ渡ってきた。 今度こそは!と期待したが、フィッツロイは全容を見せることなく、再び雨が降り始めた。 風が次第に強くなり、またもジェット機のスクランブルだ。 一晩中荒れ狂い、気温も下がる。 朝のテント内の気温は4℃。外は2℃ぐらいだろうか。 8時頃雨が止んだので、外に出て見た。 風はまだ強く、今にも枝が折れてきそうで怖い。山はテントサイトの近くまで真白だった。 もちろんフィッツロイも雲の中だったが、急速に雲が引いて行く。 「こいつは絶対晴れる!!」 なぜか確信し、カメラを持って2日前敗退した地点へ。 そして、ついにその時はきた。 【蒼天のフィッツロイ】

  君に逢いに 2万キロを旅してきました。 【独り占め】

夜が遅いため、誰も朝に起きてこない。 フィッツロイを独り占め。 昼間のフィッツロイは、もう思い残すことはない。 でも、目的はあくまでも星景写真。 このあと、またしても雲がわき、雨がパラツキ始めた。 なんてめまぐるしい天気だ。 仮眠をとり、日暮れ前に目を覚ますと、また晴れ間が出てきた。 みたび撮影ポイントへ。 1時間ほどすると、フィッツロイが月の光に浮かび上がってきた。 常に雲が生き物のようにまとわりつき、最後までどんなに長くても3分と姿を現すことはなかったが、星空の下のフィッツロイを写し撮ることに成功した。 やったー!!ついにやったぞーーーーー!!! そのまま夜明け近くまで晴れ続け、感動の朝を迎えた。 【おまけ】

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