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星景写真と口蹄疫

 タイトルを見て、ん?星景写真と口蹄疫に何の関係が?と思われたかもしれません。狙ってキャッチーなタイトルにした訳ではなく、私が最近導入した口蹄疫対策についての真面目なお話しです。

まずは口蹄疫について。皆さん一度は耳にしたことがあるかと思いますが、家畜や野生動物に感染するウイルス感染症の病気で、非常に強い伝播力を持っており、中性・低温下では18週間も生残するそうです。

 詳しくは、農林水産省のHPをご参照ください。

 星景写真家にとって、牧場風景はとても魅力的な対象だと思います。牧場内に入らずとも、牧場周辺をうろついた経験は多くの方があるのではないでしょうか。また地域によっては、牧場の中に手軽に入れるところもあります。隠岐諸島や与那国島などは、一般道が牧場内にありますし、阿蘇の草千里ヶ浜周辺は、牛や馬が放し飼いにされているため、事実上、牧場の中と変わりません。

 そして、星空のきれいなところイコール山野ということで、野生動物の生息している地域を歩き回ることはよくあることではないでしょうか。そのため、可能性としては限りなくゼロに近いと思いますが、撮影活動を通じて口蹄疫の媒介をしてしまう懸念があるわけです。

 今でこそ口蹄疫は沈静化していますが、2010年に宮崎で口蹄疫が流行ったときは、29万頭もの家畜が殺処分されました。その中には伝説のスーパー種牛「安平」やエース中のエース「忠富士」もが含まれ、次世代にまでも多大な損失をもたらしました。そういった背景から、牧場の近くをうろつく撮影者に、快く思わない牧場主がいてもなんら不思議ではありません。

 ところで、牧場周辺で道路が白くなっているのを見かけることがありますが、これは、車のタイヤに付着した口蹄疫ウイルスを消毒するための消石灰です。このような対策に加え、ウイルスは61℃30秒で不活性化することから、走行中地面との摩擦で高温になるタイヤが媒介となるリスクは、まずないのではないかと想像しています。

 一方、山野を歩き回った靴底はどうでしょうか?車内のマットは?三脚の接地箇所は?

 実はウイルスは比較的容易に消毒できます。農水省の推奨する消毒液は、4%炭酸ナトリウム液です。原料となる炭酸ナトリウムは、1kg入り500~600円程度で入手できます(薬局で売っている炭酸水素ナトリウムと混同しないよう注意)。私は、空になった霧吹きボトルを再利用し、炭酸ナトリウム15gを水370ccに溶かして作りました。

 正直なところ、ここまでするのはいささか神経質すぎると思っていますが、自分自身の精神衛生上、後ろめたい気持ち無しに撮影に望みたい、そういう思いから導入を始めた次第です。

 なお、強アルカリで強い腐食性を持っていますので、特に溶けやすいアルミの三脚を消毒したあとは、ウエットティッシュなどで拭き取るようにしています。

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